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                       起業人の俳句よもやま話
  



 ・亭主機嫌かと立寄りぬ心太  虚子    

  昔は心太が土産代わりになったんでしょうね。私は小さい時から心太を食べたこと
 は有りませんでしたが、ある日、ちょっとした料理屋で「今日は心太が入っていますが
 召し上がりませんか?」と勧められ一度だけ食しました。その時の想い出は「え?
 これで2千円?」恐ろしいものです。

 ・ひゃくひろを通る音ある麦湯かな 虚子

  これも時代を感じさせる俳句です。ですがたぶん、時代的には一瞬の話でしょう。
 「ひゃくひろ」と云うのは長さの単位。百尋は今の長さにして183m。
 たぶん笛吹ケトルが世の中に出回り始めた時代の句だと思われます。現代では
 自宅で麦湯を作る家庭は少なくなりました

 ・合点の新豆腐ある厨かな  虚子

  新大豆で作った豆腐を新豆腐と云うのだそうですが、今や大豆に新も古いもなく、
 一年中作られていますね。特にいろんなブランドが闊歩している現代社会。一度
 どのくらい味が違うのか食べ比べてみたいものです。

 ・中元のきまり扇や左阿弥より  誓子

  中元で何を貰うのかと決まっていると渡す方も楽だし、貰う方も計画できるし
 良いですよね。一方、最近では流行のお菓子を渡す人も増えていますが、これは
 これで、今年は何だろうと楽しみになります

  ・朝顔に日高くなりし無職かな みづほ

  これはどういう句なんでしょう。日高くなりしの意味が良く解りませんが、これまでは
 朝の早いうちに観ていた朝顔が、無職となって、日が高くなった今も眺めている
 そう云う解釈でしょうか。引退してせいせいしているというよりも、寂しさを感じます。

  ・名月や畳の上に松の影  其角

  今年の仲秋の名月は9/13(金) 幸い、東京地方は午後からは晴ですので
 良い月見が出来ることでしょう。私も明石町の聖路加病院付近で吟行俳句会
 に参加する予定です。  残念ながら無月でした。

  ・五六疋牛ひきつるる無月かな  鬼城

  無月と云うのは本来は名月が見られるはずなのに月が出ていない という状況です
 牛を引いている という状況がなんとなく良いですね。今年の十五夜も東京は無月
 でした。しかし東京の街は明るいので、月が出てないというのは単に見れなかった
 と云うだけです。

  ・鳥かぶと流るる露に濃ゆかつし  清十郎

  昔からトリカブトは毒として武器に使われ ていました。一方鑑賞用植物としても
 売られています。芽が出始めた頃はセリやヨモギと間違えて食べる人も居て、
 毎年死者が出ているそうです。この毒を附子(ブス)と呼び、神経毒で食す
 と無表情になることから転じて、美しくない女性を附子と呼ぶようになったという

・ みちのくの雨そゝぎゐる桔梗かな   秋櫻子

  昔、朝顔と呼んでいたのはキキョウのことである とよく言われます。昔と云うのは
 いつ頃なんでしょう?遅くとも平安時代の後半はキキョウはいまの桔梗でしたね。
 明智の紋所は明らかに朝顔ではありませんから。

  ・ 毛見の日とおしろいぬりし娘かな   虚子

  毛見は検見とも書きます。役人が稲作の出来を確認するため、巡検して歩くこと
 を指します。明治以降は地主が役人に替り小作農地を見て回ったそうです。この
 おしろいを塗った少女は何を意図していたのでしょうか。

  ・ 工場のいつもこの音秋の雨  汀女

  最新の工場は四角いビルディングですからこの句にピンと来ない人も多いかと思います
 戦後まもなくの頃や、それ以前は、工場と云うのは鋸型の屋根を持ち、そこから薄日が
 差してくる と云うのが定番でした。そして雨の時は音も工場内に伝わってくるんです。
 その時代の味わいある句です。

  ・街道をきちきちと飛ぶばったかな  鬼城

  鬼城の頃の街道と云うのは、まだ風が吹けば砂埃が舞うような道だったんで
 しょうね。とは言え、現代でも街中に結構ばったがいます。たぶん、ビルが増えた
 のに比例して、緑も増やしているからでしょうね。

  ・蘆の葉も笛仕る神の旅  虚子

  陰暦十月一日に神々は男女の縁結びの為、出雲へ旅立つと言われていること
 から「神の旅」が季語になったそうです。神社にお参りする際に、名を名乗らない
 人が多いと思いますが、神主さんに聞いたところ、住所氏名を言わないと神様も誰
 の願いか判らず、ご利益はないそうです。

  ・酒肴一ぜんめしは栗のめし  椎花

  栗飯というのはご馳走ですよね。昔もそうだったのでしょうか。栗の渋皮を剥く
 のが面倒なため、外食ではあまり出てこないそうです。最近は栗の味がする
 チーズなんてものもQBBから発売されています。

  ・北よりも西窓早く塞ぐなり  禄童

  冬の寒い風を防ぐために北側の窓の処に箪笥を置くなりして「北窓塞ぐ」は初冬の
 季語になります。掲句は何を言ってるんですかね。句を観ると「在鮮17年」と書いて
 あります。向うは西の海から寒い風が吹いてくるのかも知れません。

  ・家ありや煙の伝ふ鳴子縄  蕪村

  鳴子と言うと私はこけしを連想してしまいますが、カラカラと鳴るしゃもじの事を云う
 ようです。そして此処では、それを幾つか縄に括り付けてスズメなどの鳥を追い払う
 物を指しています。その縄を伝って煙が来ている という句です。

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